コインベース株(COIN)は、火曜日の市場開始直後から下落圧力を受けた。非技術系従業員が本番コードを出荷しているとの内部情報が明るみに出たことを受け、顧客からの反発が広がった。
この反応は、2025年5月の同社のデータ漏洩事件の記憶を呼び起こした。複数の口座保有者は、資金をプラットフォームから移すと公に表明し、ブライアン・アームストロングCEOによるエンジニアリング生産性向上の推進に反発する動きも見られた。
多くのコインベース利用者にとって、このニュースは既視感を伴って伝わった。
2025年5月、同取引所は6万9461人の顧客が被害を受けた情報漏洩を公表した。当時の月間アクティブユーザーの1%未満に相当。
サイバー犯罪者は、アウトソーシング企業TaskUsと関係する海外カスタマーサポート請負業者を買収し、内部サポートツールからデータを不正取得した。
漏洩データには、氏名、メールアドレス、電話番号、自宅住所、生年月日、マスキングされた社会保障番号、マスキングされた銀行口座番号、政府発行IDの画像、口座残高などが含まれていた。
パスワードや秘密鍵は流出していなかったが、漏洩情報はフィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリング攻撃の温床となった。
コインベースは$2000万の身代金要求を拒否し、事件を公表。犯人逮捕につながる情報に対して同額の報奨金を提示した。
同社は後に、復旧費用が最大4億ドルに達する可能性があると見積もったほか、複数の集団訴訟にも直面した。
コインベースの非技術系スタッフが本番コードを出荷しているとの認識が広がると、とたんに過去の記憶が呼び覚まされた。
口座保有者は、この運用方針転換について、SNS上でセキュリティへの懸念と結びつけて多数の苦情を投稿した。
他にも、2025年の事件により実害を受けたとする口座保有者もいた。あるユーザーは、自宅住所が流出したことでソーシャルエンジニアリング詐欺師から毎週嫌がらせを受けていると述べた。
こうした苦情には共通点があった。開発工程に正式なエンジニア教育を受けていないとみなされる従業員が加わったことで、コインベースをカストディアンとして信頼しなくなったという点だ。
こうした背景もあり、コインベース株COINは火曜日の取引開始後、5%近く下落。本稿執筆時点で196.21ドルで取引されている。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOはX(旧ツイッター)で直接批判に応じ、未検証のコードを本番環境に投入することはないと否定した。
同氏はこの方針について、品質を犠牲にしたものではなく生産性向上策であると説明した。ただし、2025年の漏洩事件で既に不安を抱える個人投資家が、この説明で安心するかは別問題で、市場はCOIN株に対する下押し圧力という形でその答えを示している。
今回の摩擦は、過去にセキュリティ事故の代償を払った利用者が、取引所にどこまで信頼を求められるのかという根深い対立を映し出す。