トークン化プロバイダーCtrl Altとドバイ土地局は、ドバイにおける「不動産トークン化プロジェクト」パイロットの第2フェーズを開始したと発表した。今回のフェーズでは、トークン化された不動産資産に対して、管理された環境下での二次市場取引機能が導入される。
本プロジェクトは、従来の不動産所有モデルにブロックチェーン技術を統合する試みとして進められてきた。第1フェーズでは、合計10件の不動産がトークン化され、総額500万ドル(約7億7500億円、1ドル=155円換算)超の不動産価値がデジタル化された。発行された約780万トークンは、第2フェーズにおいて再販売が可能となり、ドバイ不動産市場における流動性とアクセス性の拡大が図られる。
規制枠組みのもとで進む二次市場取引
第2フェーズの主な目的は、市場効率性と運用体制の検証に加え、透明性、ガバナンス、投資家保護の強化にある。取引は、プロジェクト専用の配布プラットフォーム上で、規制されたパイロット枠組みの中で実施される。これにより、取引の整合性を確保しつつ、既存の土地登記制度との整合性も維持される。
オンチェーン取引は引き続きXRP Ledger(XRPL)上で実行され、Ripple Custody(リップル・カストディ)によって保全される。これにより、ブロックチェーンの持つ改ざん耐性と透明性を活かしながら、制度的信頼性を確保する構造が構築されている。
Ctrl Altの役割と技術基盤
Ctrl Altは本プロジェクトのトークン化インフラパートナーとして、第1フェーズでは不動産の所有権証書トークンの発行・管理を担当した。第2フェーズでは、二次市場機能の展開を担い、ドバイ土地局のシステムと直接統合されたインフラを提供する。
これにより、不動産の権利証書はオンチェーン上で発行、管理、移転が可能となり、公式な登記簿と完全に整合した形で所有権記録が維持される。二次市場での全取引はCtrl Altのトークン化エンジンを通じて実行され、正確かつ最新の所有情報が保証される仕組みだ。
ARVAトークンによる管理構造
第2フェーズでは、Ctrl Altが「Asset-Referenced Virtual Asset(ARVA)」管理トークンを新たに発行する。これは、規制された二次市場移転を実現するための管理機能を担うトークンであり、既存の所有権トークンと並行してオンチェーン上に記録される。
所有トークンと管理トークンの双方を組み合わせることで、単一かつ改ざん不可能な所有記録が形成される。この仕組みは、Ctrl Altが暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダー(VASP)として認可を受け、さらにVARA(Virtual Assets Regulatory Authority:暗号資産規制当局)から発行体ライセンスを取得した初の企業であること、ならびにブローカー・ディーラーライセンスを保有していることに支えられている。
市場インフラとしての意義
Ctrl Altの中東・北アフリカ(MENA)地域CEOであるRobert Farquhar(ロバート・ファーカー)氏は、「資産が発行後に効率的に移転できてこそ、ネイティブトークン化の可能性は最大化される」と述べ、二次市場取引の導入が不可欠であると強調した。また、政府機関と機関投資家レベルのイノベーションが連携することで、グローバル基準となるデジタル市場インフラが構築されつつあると説明した。
Ctrl AltのCPOであるMatt Acheson(マット・アチソン)氏は、エコシステム全体にとって効率的でありながら、ドバイ土地局およびVARAの求める統制・ガバナンス要件を満たす設計を目指したと語る。
同社は、ARVA管理トークンと所有権トークンをシームレスに運用する高度な技術フレームワークを開発。PRYPCOなどの配布プラットフォームが、独自にトークン化基盤を構築・管理することなく、分割所有型の不動産投資体験をエンドユーザーに提供できる環境を整えた。
今回の取り組みは、ドバイが不動産イノベーションおよびデジタル資産分野での先導的地位をさらに強化する動きと位置付けられる。政府の協働、明確な規制枠組み、そして先端技術の融合が、不動産の所有形態を再定義し、より広範な投資家参加を可能にする基盤を築いている。
|文・編集:Shoko Galaviz
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