● 相場フェーズは強気相場の調整というより、冬の初期または再侵入局面に近い構造を示している。
● 価格水準は高いが、センチメントとフローはすでに弱気側へ傾きつつある。
● 需給と資金フローに明確な改善が見られない限り、やや弱気優勢の評価が妥当。

本稿では、現在のビットコイン市場について、「もしかすると新たな“冬の時代”に入りつつあるのではないか」という視点から整理していく。

結論を先に述べるなら、足元の相場は一般的にイメージされる強気相場の単なる調整というより、冬の初期、あるいは再び冬に差し掛かる局面に近い構造が観測されている。現時点での方向性は、あくまで条件付きではあるが、やや弱気が優勢と捉えるのが無理のない評価だろう。

ただし、この見方が市場で共有されにくい理由も明確に存在する。

第一に、多くの参加者は「今は冬ではないと思いたい」という心理を強く持っている。2022年の記憶はまだ新しく、再び冬を認めること自体が心理的にコストの高い行為になっている。

第二に、価格水準そのものが当時より大きく切り上がっている点だ。2022年の冬は16,000ドル割れまで下落したが、現在の価格は70,000ドル前後にある。この“名目価格の高さ”が、「冬ではない」という認識を補強している。

第三に、ビットコインそのものが構造的に強くなっている点も無視できない。現物ETFの承認、企業・機関の保有、インフラ整備などを背景に、2022年当時と比べて市場基盤は明らかに成熟している。このため、「あの頃と同じ冬が来るはずがない」という感覚が広がりやすい。

しかし、冬の本質は価格水準ではなく、需給・フロー・センチメントの位相変化にある。現在のFear & Greed Indexは14とExtreme Fear水準にあり、価格が高水準を保っている一方で、心理はすでに大きく崩れている。これは2018年や2022年と同様、「価格より先に感情が冷え切る」局面と整合的だ。

さらに、フロー構造はこの見方を補強する。2024年には100億ドルの資金流入で時価総額が拡張したが、2025年は3,000億ドル超の流入にもかかわらず時価総額は減少した。これは、現在の市場が構造的な売り圧力を内包したままであり、資金流入が価格上昇に転換されにくいフェーズにあることを示唆する。

この構図は、2022年冬の初期段階と重なる部分が多い。当時も「価格はまだ高い」「ビットコインは以前より強い」という認識が市場に残る一方で、オンチェーンでは分配と信用収縮が静かに進行していた。

エックスウィンリサーチは、「ビットコイン実現損益が示す構造転換──オンチェーンが映す『価格の裏側』」という記事の中で、価格が高値圏にあるにもかかわらず実現利益が減少し、上昇モメンタムが内部から弱まっていく局面に注目している。このようなオンチェーン損益構造の変化は、強気相場の延長ではなく、調整フェーズへの移行を示唆するシグナルとして位置づけられていた。現在の市場状況は、結果的に当時の分析と整合的であり、価格の印象とは裏腹に、需給とフローの位相がすでに変わりつつある可能性を示している。

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もちろん反対シナリオもある。ETFフローが再び安定的な純流入に転じ、売り主体である中期保有者の分配が明確に止まる場合、この“冬入り”仮説は見直す必要がある。また、Fear & Greedの回復に加え、現物出来高を伴う需要回復が確認されることも重要な条件となる。

結論として、現時点では「市場はすでに冬に入りつつあるが、価格水準と構造強化がその認識を遅らせている」という見方がベースシナリオ。ただし、需給構造とフローに明確な改善が確認される場合、この見方は修正する必要がある。

オンチェーン指標の見方

Fear & Greed Index:Fear & Greed Indexは、市場参加者の心理状態を数値化したセンチメント指標である。数値が低いほど恐怖が強く、価格に対して慎重・防御的な行動が増えていることを示す。Extreme Fear水準は、価格ではなく心理が先に冷え込む局面を捉える補助指標として有効。

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