世界の暗号資産(仮想通貨)保有者による高級不動産投資が急拡大している。国際的な投資移住コンサルティング企業ヘンリー・アンド・パートナーズが2025年9月に発表した「クリプト・ウェルス・レポート2025」によると、100万ドル(約1億5,342万円)以上の暗号資産を保有するミリオネアの数は世界で24万1,700人に達し、前年比40%増を記録した。
この急増の背景には、ビットコイン保有者の急拡大がある。ビットコインミリオネアは前年比70%増の14万5,100人に達し、暗号資産ミリオネア全体の約60%を占める。暗号資産市場全体の時価総額も2025年6月時点で3兆3,000億ドル(約506兆円)に達し、前年比45%増と大幅な成長を見せた。
不動産仲介大手サザビーズ・インターナショナル・リアルティが2026年1月7日に公表した「2026ラグジュアリー・アウトルック」レポートは、暗号資産が高級不動産購入に与える影響の大きさを明示している。同レポートによると、ドバイ、ニューヨーク、カリフォルニアの3地域で暗号資産による高級物件の購入が顕著に増加しており、規制変更により暗号資産を住宅ローンの審査対象資産として認める動きも進んでいる。
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サザビーズのブラッドリー・ネルソン最高マーケティング責任者(CMO)は「2026年に向けて在庫水準はパンデミック前の正常値に戻りつつあり、市場のバランスが改善されている。これにより購入者はより幅広い選択肢を得られる」と述べた。
高級不動産市場の成長を後押しする要因の一つが、世代間の資産移転だ。2025年には推定6兆ドル(約920兆円)の資産が若い世代へ移転し、この額は世界GDPの約10%に相当する。2028年までにサイレント世代とベビーブーマー世代から若年層へ移転される資産総額は124兆ドル(約1京9,024兆円)に達する見込みで、そのうち約25兆ドル(約3,836兆円)が不動産資産だ。
暗号資産ミリオネアの特徴は、その若さにある。ヘンリー・アンド・パートナーズのレポートによると、暗号資産購入者の94%が40歳未満のジェネレーションZ世代およびミレニアル世代で構成されている。
同社のドミニク・ヴォレック氏(プライベートクライアント部門グループ責任者)は「暗号資産は地理的制約を取り払った。12の単語を記憶するだけで、チューリッヒでもジェンジョウでも即座にアクセスできる10億ドルのビットコインを保有できる」と指摘する。
米国の高級不動産市場では、外国人購入者の活動が活発化している。全米リアルターズ協会(NAR)のデータによると、2024年4月から2025年3月までの期間における外国人による米国内の不動産取引は前年比44%増を記録した。特にフロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州が主要な投資先となっている。
サザビーズのフィリップ・ホワイト社長兼最高経営責任者(CEO)は「高級不動産市場は在庫増加、国際購入者の活動拡大、高額帯における現金購入比率の上昇といった堅調な基盤の上に構築されている。高級不動産購入者は地理的制約を受けにくい市場で最も強いセグメントだ」と述べた。
特にドバイは暗号資産富裕層にとって魅力的な移住先として急浮上している。アラブ首長国連邦(UAE)は個人所得税およびキャピタルゲイン税がゼロで、ゴールデンビザ制度を通じて10年間更新可能な居住許可を提供する。
ヘンリー・アンド・パートナーズの調査によると、UAE居住者の約30%が暗号資産を保有しており、世界で最も高い保有率を記録している。2026年には9,800人の富裕層がUAEへ移住すると予測されており、世界最大のミリオネア移住先となる見込みだ。
暗号資産センチミリオネア(1億ドル以上保有)は450人に達し前年比38%増、暗号資産ビリオネアは36人で前年比29%増となった。こうした超富裕層による不動産投資が、世界の高級不動産市場に新たな資金の流れを生み出している。
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