ビットコイン(BTC)価格が8万2000ドル付近で停滞を続けているが、その要因はチャート上にはない。責任は、2025年10月以降姿を消した米国の買い手にある。
チャート上は上昇への準備が整っている。EMA(指数平滑移動平均)の強気なクロスオーバーが迫っており、これは4月に10.72%上昇をもたらした直前の構図と似ている。しかし、1つの買い手グループが上値を売り続けており、重要な節目で動きが止まっている。
ビットコインの日足チャートには、4本のEMAが接近している様子が示されている。
20日EMAは7万8805ドル、50日EMAは7万6016ドル、100日EMAは7万6538ドルに位置。200日EMAは8万2020ドルで直近の上値抵抗帯となっている。EMAはシンプル移動平均よりも直近価格の変化に速く反応する移動平均線である。
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現在、50日EMAが100日EMAに急接近しており、両者の乖離は日々縮小している。数日以内に強気のクロスオーバーが実現する可能性がある。この動きが重要なのは、4月下旬にも20日EMAと100日EMAで同様の動きがあったため。このクロスオーバー達成後、ビットコイン価格は数週間で10.72%上昇した。
ただし、200日EMAが障壁となっている。ビットコインはこのEMA奪回を週末に試みたが、失敗に終わった。5月6日の試みもすぐに反転。5月10日も同様であった。
200日EMAがレジスタンスからサポートへ転換しない限り、50日・100日EMAのクロスオーバーは依然として「きっかけのないセットアップ」にとどまる。ではなぜ強気投資家が仕上げを阻まれているのか。その答えはオンチェーンデータに表れている。
ビットコインのファンディングレートは過去3か月で体制転換が起きている。2025年5月から2026年1月末までは、おおむねプラス圏でロング優勢を示していた。
しかし1月末以降、状況が一変した。CryptoQuantのデータによると、ファンディングは約90日間ほぼマイナス圏継続。直近(5月10日)の値は-0.0031%。この期間で最も大きなマイナスは-0.02%近くに達した。
ファンディングレートが-0.01%を下回ると、ショート優勢が強まっているサイン。ポジションが売り側に偏り過ぎると、逆に下値圧力が緩み、価格維持の場合はショートスクイーズが起こりやすくなるという逆説的な側面もある。
スポット市場も同様の動きを見せているが、こちらは転換がより早かった。CoinbaseプレミアムインデックスはCoinbaseと他主要取引所の価格差を示す。プラスなら米国買い手が積極的に買っているサイン。マイナスなら米国の売り圧が強いことを意味する。
2025年10月下旬以降、プレミアムインデックスはほぼマイナス圏維持。赤色基調が続き、時おりグリーンのスパイクが発生するのみとなっている。
6か月間続いたマイナスは、米国スポット需要がほぼ消滅もしくは純減状態であることを示す。この需要こそがビットコインラリーの変動要因であるが、それが欠けているため、上値奪回のたびに同じ集団から売り圧がかかる状態となっている。
この指標は5月5日にプラス転換(200日EMA再奪回直前)したが、6日に再びマイナスへ転換し、EMA突破失敗となった。
タイミングは重要である。Coinbaseプレミアムのマイナス転換はファンディングレートより3か月早く始まった。先にスポットの弱さが生じ、その後デリバティブ市場も追随する形となった。Coinbaseプレミアムの緑転換は、米国機関投資家の買い需要復活を示すシグナルとなる。それまではチャートがすべてを物語る構図が続く。
200日EMAが依然として上値抵抗となっており、ビットコイン価格は8万2020ドルを明確に上抜ける必要がある。その後はじめて、上値水準への展開が意識される。
出来高が一部の要因を示している。4月13日以降、日次出来高は減少傾向にあるが、価格自体はじりじりと上昇を続けている。この参加者の減少が、各上昇トライが失速する要因のひとつとなっている。
200日線を上抜けた場合の次の試しどころは8万3608ドルとなる。これは0.236フィボナッチ水準にあたる。ここを上抜ければ、200日線の上値圧力が消えたことになる。目標は8万6223ドル、8万8336ドルへと続く。
8万8336ドルを上抜けると、次の主要な抵抗は9万450ドルとなる。これは0.618フィボナッチであり、当社の暗号資産市場解説記事でも取り上げている。
下値では、7万9381ドルが直近のサポートとなる。この水準を割り込むと、次は7万4903ドルが水平的な下支えとなる。7万4903ドルも失えば、7万493ドルまで一段安となる展開が想定される。
ビットコイン価格はきわめて狭いレンジの中にある。200日EMA、コインベース・プレミアム、ファンディングレートがそろって上昇転換しない限り、本格的な上昇余地は見込めない。8万2020ドルを上抜けても、米国勢の買いが加わらなければ、5月6日や5月10日の失敗を繰り返すリスクがある。
8万2020ドルが、10.72%の上昇再現と7万4903ドルまでの下落展開を分ける分水嶺となる。


